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[お断り]このページは、アニメ『セーラームーンS』のファンページに過ぎません(=天文・宇宙関係のHPではありません)。そのためセーラームーン以外の分野の参考文献としては、あまり役立ちません。最新かつ正確なデータは、『理科年表』『天文年鑑』・その他専門書・専門機関webページで入手することをお勧めします。また文系の方は、別レポート「天王星についての大雑把な知識(文系用)」をご参照ください。
天王星データブック 
[初稿掲載日:2004年10月15日. 最終修正日:2004年10月20日]


1.基本データ
[天王星の概観]
 英語名:Uranus. 太陽系第7惑星。天王星は、18世紀以降に望遠鏡によって“発見された”惑星の一つである(海王星・冥王星も同様)。新しく発見された3つの惑星の中では、一番早く発見された。木星型惑星(巨大ガス惑星/巨大氷惑星)のうちでは、海王星と共に巨大氷惑星に分類され、大きさ・質量・組成ともに海王星と最もよく似ている。太陽からの距離が約29億万kmも離れており、十分な熱源も持たないため、極寒の惑星となっている。
 天王星の最も大きな特徴は、自転軸が公転軸に対して98度も傾いていること。つまり土星を横倒しにしたような奇妙な姿で自転・公転を続けている。星の大きさは地球の約4倍で、太陽系では土星に次いで大きい。その他、質量・組成等は海王星と良く似ている。

[天王星の全体像]
 天王星大気中のメタンが、太陽光の中の赤色光・赤橙光を吸収して、青色光を反射するため、天王星は青緑色の星に見える。(1985年、ボイジャー2号撮影/自然色)
 1994年8月14日、HSTが28億kmの距離から撮影した天王星(リングの部分を鮮明に見せるために、明暗が強調されている)。6分間隔で撮影した3枚の写真を重ねているため、衛星は3つの点の繋がったものとして見えている。衛星は左から順にクレシダ・ジュリエット・ポーシャ。南極上空(左側の明るい部分)には高高度の靄がかかっており、中央には1対の明るいい雲がある(白く見える斑点)。 [三日月状の天王星]
 このように三日月状に光る天王星の写真は、1986年1月24日にボイジャー2号が号が接近するまで決して得ることが出来なかった(=地球からはこのようには見えない)。惑星の霞んだ青緑色は、大気中の微量のメタンガスが赤い光の波長を吸収するために作り出されたもの。

[略年表]
〜1781年 それまでにも多くの人が天王星の位置を観測して記録を残していたが、皆それが未知の惑星であることには気づかなかった(「惑星ではなく、恒星か何かだろう」という程度の見解)。
1781年3月13日 イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルによって、天王星が惑星として発見される。その夜、ハーシェルは自作の大望遠鏡で夜空を観測していて、恒星よりも比較的大きな星があることに気づいた。彼は当初、それを惑星ではなく彗星か何かだろうと思っていた。しかしその後の軌道観測から、その星が惑星であることを確信。後にフィンランドの天文学者レクセルらによって、その星は土星の外側を回る新しい惑星であることが示され、ハーシェルは天王星の発見者と称されるようになった。
1977年8月20日 惑星探査機ボイジャー2号打ち上げ。
1986年1月24日 惑星探査機ボイジャー2号が天王星上空10,700qまで最接近する。ボイジャーによって地球に送られてきた8000枚に及ぶ画像の中から、天王星が11本の細いリングを持つことや、15個の小衛星を従えていることが明らかとなった。当時、天王星の北半球は冬の真っ只中で、大気の変動がほとんどなく、写真で見ると惑星表面はのっぺりとした青緑色に見えた。

[惑星の基礎データ]
- 木星型惑星(巨大氷惑星) 地球型惑星
海王星
Neptune
天王星
Uranus
火星
Mars
地球
Earth
金星
Venus
太陽からの距離 近日点:a(1-e)
(km)
4.45963 x 109
(29.811 A.U.)
2.73556 x 109
(18.286 A.U.)
2.066 x 108
(1.381 A.U.)
1.471 x 108
(0.983 A.U.)
1.07476 x 108 (0.718 A.U)
長半径:a
(km)
4.4982529 x 109
(30.069 A.U.)
2.8709722 x 109
(19.191 A.U.)
2.2793664 x 108
(1.523662 A.U.)
1.4959789 x 108
(1.000 A.U.)
1.0820893 x 108
(0.723332 A.U.)
遠日点: a(1+e)
(km)
4.53687 x 109
(30.327 A.U.)
3.00639 x 109 (20.096 A.U.) 2.492 x 108 (1.666 A.U.) 1.521 x 108
(1.017 A.U.)
1.08942 x 108
(0.728 A.U.)
軌道離心率 e
0.00859
(0.514 x Earth)
0.047168
(2.823 x Earth)
0.0934
(5.59 x Earth)
0.01671022
0.0068
(0.405 x Earth)
軌道面に対する赤道の傾斜角度(°) 27.8 97.86 25.19 23.44 177.4
対恒星公転周期 P 164.774 地球年
(=60182 地球日)
84.0223 地球年
(=30688 地球日)
686.98 地球日 365.26 地球日 224.70 地球日
地球からの距離 最近距離(A.U.) 28.78 17.26 0.3647 - 0.2549
最遠距離(A.U.) 31.33 21.104 2.6826 - 1.7450
自転周期 16時間6分7秒 17時間14分24秒 24時間39分35秒 23時間56分4秒 243.02 日
(逆回り)
赤道半径(km) 2.4764 x 104
(3.883 x Earth)
2.5559 x 104
(4.007 x Earth)
3.397 x 103
(0.5326 x Earth)
6.37814 x 103 6.0518 x 103
赤道円周(km) 1.55597 x 105 1.60592 x 105 2.1344 x 104 4.0075 x 104 3.8025 x 104
偏平率:
(赤道半径−極半径)/赤道半径
0.023
(1/59)
0.017
(1/43)
0.0052
(1/192)
0.0034
(1/294)
0.0
赤道重力(m/s2) 10.71
(1.11 x Earth)
8.43
(0.89 × Earth)
3.693
(0.38 × Earth)
9.766 8.87
(0.91 × Earth)
脱出速度(m/s) 2.3710 x 104
(2.101 x Earth)
2.1290 x 104
(1.904 x Earth)
5.02 x 103
(0.449 x Earth)
1.1180 x 104 1.036 x 104
(0.927 x Earth)
軌道平均速度(m/s) 5.4778 x 103
(0.490 x Earth)
6.8352 x 103
(0.229 x Earth)
2.41309 x 104
(0.810 x Earth)
2.97859 x 104 3.50214x 104
(1.176 x Earth)
軌道円周(km) 2.8142 x 1010
(30.44 x Earth)
1.762 x 1010
(19.06 x Earth)
1.3669 x 109
(1.479 x Earth)
9.243757 x 108 6.753 x 108
(0.731 x Earth)
体積( km3) 6.2526 x 1013
(57.744 x Earth's)
5.9142 x 1013
(63.1 x Earth)
1.6314 X 1011
(0.150 x Earth)
1.0832 x 1012 9.284 x 1011
(0.88 x Earth's)
表面積( km2) 7.6408 x 109
(14.980 x Earth)
8.1156 x 109
(15.91 x Earth)
1.441 x 108
(0.282 x Earth)
5.100657 x 108 4.602 x 108
(0.902 x Earth)
質量 (kg) 1.0244 x 1026 8.6849 x 1025 6.4185 x 1023 5.9737 x 1024 4.8685 x 1024
(地球=1) 17.147 14.371 0.10744 1.0000 0.8150
(太陽=1) 5.1514×10-5 4.3663×10-5 3.2272×10-7 3.0404×10-6 2.4478×10-6
平均密度( g/cm3) 1.76
(0.317 x Earth)
1.27
(0.236 x Earth)
3.94
(0.714 x Earth)
5.515 5.24
反射能 0.65 0.82 0.16 0.30 0.78
極大光度(等) +7.8 +5.3 -3.0 -4.7
平均受熱量 (地球=1) 0.0011 0.0027 0.43 1.00 1.91
有効放射温度(K) 59 57 186〜268
251 240
地表温度(K) - - 25(赤道夏)〜-136(極点冬) 288/
185/331 (平均/最低/最高)
735
表面の物質組成 H2, He, CH4 H2, He, CH4 玄武岩質岩石 水と玄武岩質岩石+花崗岩質岩石 玄武岩質(+花崗岩質)岩石
大気の主成分 H2, He, CH4 H2, He, CH4 CO2,N2, Ar N2, O2 CO2 ,N2
衛星数 13個以上 27個以上 2 1 なし
リングの数 4 11 なし なし なし
※数値は『理科年表(平成16年度版)』、『Solar System Exploration』(JPL)等を参照。



2.内部構造


地球の内部構造
(提供:JAXA)

天王星の内部構造
(提供:JAXA)
 他の木星型惑星と同じく、水素H2とHeのガスから成っている。ただし低温のため、NH3・CH4など氷や液体の形で存在しているものが多い。
 中心に、岩石や氷などの高濃度物質からなる核があり、そのまわりにマントル(液状のコア:水・NH3・CH4が混じった分厚い氷の層)、マントル上空にはHeとCH4ガスを含む濃いH2ガス雲の層が取り巻いていると考えられている(左の写真参照)。
 上空の層に含まれるCH4が赤橙色の光を吸収するため、地球から観測すると天王星の表面は青緑色に見える。また他の木星型惑星と異なり、天王星が外部に放出するエネルギーは、受け取る太陽エネルギーより少ない。このことから、天王星は内部に熱源をほとんど持たず均一になっていると考えられている。
 また1986年1月24日にボイジャー2号が天王星を訪れたとき、南極は太陽光をほぼ直接受光して赤道地帯の2倍のエネルギーを受けていたにも関わらず、赤道より温度が低かった。この事実は大きな謎となっている。

木星の内部構造
(提供:JAXA)

海王星の内部構造
(提供:JAXA)

[参考:天王星の主要物質の融点および・沸点]

物質 融点(℃) 沸点(℃) 天王星(-210℃)での状態 地球(平均気温15℃)での状態
H2 -259.14 -252.87 気体 気体
He -272.2
(26気圧下)
-268.934 気体 気体
CH4 -182.6 -161.5 固体(or 液体) 気体
NH3 -77.7 -33.48 固体 気体
C2H2 -80.8
(三重点)
-84.0
(昇華点)
固体 気体
※数値は『理科年表(平成16年度版)』を参照。



3.自転軸と磁軸
  天王星の自転軸は98°傾いており、ほとんど横倒しの状態で回っている。このため天王星は時々“sideways”planet(=横向き惑星)と呼ばれることがある。自転軸が大きく傾いているせいで、公転周期84年間のうち、ある地域は42年間太陽光を浴び続け、ある地域は42年間太陽光を受けず暗黒の世界になる、という事態が発生する。このため磁軸は中心を通っておらず、自転軸から約60°もずれている。その原因としては、隕石衝突説(天王星が形成された初期の段階で微惑星による大規模な衝突が起きて横倒しになったという説)が有力である。しかしリングも含めた天王星の形成過程については、まだ多くの謎が残されている。
 またボイジャー2号の観測によって、天王星にも地球と同程度の強さの磁場があることが確認されている。
1986年1月10日にボイジャー2号が1800万kmの距離から撮った天王星]
 左:自然色の写真。右:左の写真を元に疑似カラーで作成したもの。木星型惑星はいずれも表面に高速で流れる雲の縞模様を持つ。天王星のそれは非常に微かなものだが、疑似カラーにすると確認できる。また天王星の自転軸がどこにあるかもはっきりと見える。
[天王星・海王星の大気の様子]
 上段:自然色。二つの惑星はまるで双子のようだ。下段:肉眼では識別不能な惑星の特徴を捉えるために、上段とは異なる色フィルターを使った写真。画面左側が南極。どちらも縞模様と霞が見られるが、自転軸の違いがはっきりと現れている。左側の天王星は自転軸がほぼ直角に傾いている。2003年8月撮影。
[天王星の雲の動き]
 天王星の南半球にある1対の明るい雲の動きと、南極上空の高高度を覆う“かすみ”を捉えた写真。左と中央の写真では、約3時間経過している。また中央と右の写真では、約5時間の時間差がある。高高度の雲の動きは、その高度を流れる風のためである。この雲の動きを追うことによって、天王星のより正確な自転周期を測定することが今後期待されている。HST撮影。



4.大気組成

 天王星にはH2を主成分に、HeやCH4などを含む大気が存在する。1986年にボイジャー2号が天王星を訪れたときは、天王星の北半球は冬の真っ只中で、大気の変動は見られず、写真で見てものっぺりとした青緑色の惑星に過ぎなかった。しかし1997年〜1998年8月にハッブル宇宙望遠鏡が天王星を撮影した頃には、観測される雲の数は20に増え、広範囲に広がっていた。すなわち北半球では長い冬が終わり、春が来て大気の変動が活発になり始めたということ。
[天王星の大気循環]
 1986年、自転している天王星を同一方向からボイジャー2号が撮影。撮った写真を疑似カラー処理し、緯度経度の格子をつけたものが上の写真。
 1997年7月31日〜8月1日にHSTが撮影した天王星の北半球における縞模様の雲の様子。
 [左]自然色の写真。[右]赤外線観測装置NICMOSで撮影。疑似カラー。惑星大気中でメタン分子の吸収に敏感な部分(雲)が示されており、帯状の構造がはっきりと見える。1997年のこの写真からは、長い冬が終わってようやく春が来ようとしていることがわかる。
1995年7月3日、HSTが赤外線波長で撮影した天王星大気の3つの層(疑似カラー)。惑星の周囲を取り巻く赤色は、高層にある希薄な霞の層。非常に薄い層のため、惑星の外縁部分にかろうじて写っている程度。底の黄色い部分は、もう一つの別の霞の層。青い部分は最も深い層であり、最も澄んだ大気を示している。写真でみられる高層の雲は、秒速140mで、ほぼ地球のジェット気流夏の速度で天王星を周回していることが観測されている。

[大気組成データ]
- 木星型惑星(巨大氷惑星) 海王星の衛星 地球型惑星 地球の衛星
物質名 海王星 天王星 トリトン 火星 地球
モル比
(水素量を1とした場合)
モル比 体積百分率 体積百分率 体積百分率 体積百分率
H2 1 0.85 - - - -
He 0.22 0.15
Ne - - 2.5×10-4 1.8×10-3
Ar 1.6 9.3×10-1
Na - -
(変化する)
〜80
(変化する)
K - 〜20
(変化する)
N2 〜100 2.7 78 -
O2 - 1.3×10-1 21
CO2 95 3.2×10-2
(漸増しつつある)
SO2 - -
H2O 3×10-2
(変化する)
1〜2.8
(変化する)
CO 〜10-6 7×10-2 1.2×10-5
O3 - 3×10-6 -
(変化する)
CH4 0.02 6×10-3 - -
NH3 3×10-6 -
C2H2 10-6 2×10-4
C2H6 < 2×10-8 -
PH3
表面大気圧(bar) 1.6×10-5
(変化する)
0.006 1 10-17
(変化する)
大気量(g) - 2.4×1019 5.3×1021 -
〃(km・atm)* 225±75 225±75 - - -
有効温度(K) 55±2 < 59.4 40 250 295(太陽直下) 325
*…水素量,1気圧,0℃における厚さ(km)。 数値は『理科年表(平成16年度版)』を参照。



5.環データ
 
 他の木星型惑星同様に、天王星にも環(rings)がある。全部で11本あり、そのうち9本がボイジャー2号探査以前の1977年に地球上からの観測で発見された。しかしその環は、土星のリングと比較すると非常に微かなもので、見えにくい。
 このように天王星のリングの特徴として、まず第一にその暗さが挙げられる。その反射率は5%以下で、炭素質コンドライトの反射能に似ている。このためリングを構成する物質は、水の氷とCH4の混合物から出来ているだろうと推測されている。このリングが放射線と反応することでCH4が高分子化し、黒い墨状のものが表面を覆うため暗く見えると考えられている。暗い環なので、地球から肉眼で見ることは不可能。この暗い環は、天王星が恒星を通過するときのある現象によって発見された。天王星が恒星を通過するとき、天王星本体によって恒星が隠れる現象が起こる(掩蔽(えんぺい)現象)。この天王星が恒星の前を横切る前後に、恒星からの光が9回遮られたことから、9本の環があることが確認された。
 もう一つの特徴としては、リングの幅が狭いことが挙げられる。土星と違い、各リングの幅は数十kmから数kmと非常に狭い。これはリングを挟むように位置する"shepherd" satellites(=羊飼い衛星)と呼ばれる二つの衛星(コーデリア、オフィーリア:衛星の中でも、天王星本体に最も近い所に位置する)の効果により、幅の狭いリングが安定して存在できると考えられている。羊の群れがバラバラにならないように追い立てる牧羊犬(shepherd)のごとく、リングの内と外にある二つの衛星が、一方がリングの粒子が外へ押し出そうと、もう一方は内へ押し戻そうと引っ張ることから、リングの形を保っている。天王星のもっとも外側にあるイプシロン・リングの外にはオフィーリア、内にはコーデリアがあり、と羊飼いの役目を果たしている。
天王星の環のクローズアップ写真(1986年、28万6000kmの距離からボイジャー2号撮影) 天王星の羊飼い衛星。環の外側の1986U8はオフィーリアのことを、内側の1986U7はコーデリアのことを挿す)。二つの衛星に挟まれている太い線が、イプシロン環。内側にいくにつれて、デルタ環・ガンマ環・エータ環・ベータ環・アルファ環と続いている。そのさらに内側にあるはずの4,5,6環はこの写真ではほとんど見えない(1986年1月21日、410万kmの距離からボイジャー2号撮影) 1986年1月21日、4170万kmの距離からボイジャー2号が撮影した疑似カラー写真。11本のうち8本の環がはっきりと写っている(残る6,5,4環はオフホワイト色)。最上部の一番明るい環がプシロン環で、天王星の一番外側にある環。そこから順に写真下部(内側)に向かって、デルタ環・ガンマ環と続いている。

[環のデータ]
環の名称 惑星中心からの距離
(km)
厚さ
(km)
質量
(kg)
反射能
備考
惑星半径=1 km
1986U2R 〜1.496 〜38,000 〜2500 0.1 - 0.03 天王星本体に近い内側の環。本体に近いほうから順に、1986U2R環,6環,5環。
6 1.647 41,837 1-3 0.1 -
5 1.663 42,235 2-3 0.1 0.1
4 1.676 42,572 2-3 0.1 0.1 (全体に見て粒子の最大径数mm)
α(アルファ環) 1.761 44,718 4-13 0.1 - -
β(ベータ環) 1.798 45,661 7-12 0.1 -
η(エータ環) 1.858 47,176 1-2 0.1 -
γ(ガンマ環) 1.875 47,627 1-4 〜0.1 -
δ(環) 1.901 48,300 3-7 〜0.1 -
 (コーデリア* 1.959 49,750) - *印 羊飼い衛星
λ(デルタ環) 1.969 50,024 2-3 0.1 - 0.03 -
ε(イプシロン環) 2.013 51,149 20-95 <0.15 - 天王星本体から最も遠い外側の環だが、一番はっきりと見える環でもある。離心率が大きい。
 (オフィーリア* 2.117 53,760) - -
<注>天王星の環の名称の一部は仮符号である。数値は『理科年表(平成16年度版)』、『Solar System Exploration』(JPL)等を参照。



6.衛星データ
 天王星には、現在27個以上の衛星があることがわかっている(2003年10月現在)。その衛星は二つのグループに分類される。一つは、天王星の環の外側を回っている5大衛星(アリエル・ウンブリエル・ティタニア・オベロン・ミランダ)。ただし五大衛星といっても、一列に並べても6000km弱程度であり、地球の赤道半径6378kmよりも小さい。ミランダを除く五大衛星はいずれも表面がクレーターに覆われた氷惑星で、マイナス200℃の凍りついた世界である。
 もう一つは、天王星の環の内側を回っている小衛星で、ボイジャー2号によって近年発見された小さくて暗い衛星である。その反射能は10%以下で、天王星の環を作る粒子の反射能に似ている。このことから、小衛星をつくる物質は環の粒子と同様、メタンの氷が高エネルギー電子に叩かれて黒くなったものか、炭素質コンドライト状のものだろうと考えられている。
[天王星の五大衛星のモンタージュ写真]
 1986年1月26日、5000万〜6100万kmの距離から撮影された。左から、天王星に近い順にミランダ・アリエル・ウンブリエル・ティタニア・オベロンと並んでいる。五大衛星の中ではミランダが最小、最大はオベロンとティタニア。オベロンとティタニアは太陽光の約20%を反射している.(提供:NASA)
 1997年7月28日、HSTに搭載されている赤外線観測装置NICMOSで撮影された天王星。[左]惑星表面の青い部分は大気であり、北半球側に6つの雲(の一部)が光って見える。惑星の縁を彩る他のピンク色は、天王星を覆う霞。オレンジ色の点は高層の雲。[右]左の写真の90分後のもの。衛星と赤道近くの雲が動いた距離と方向が矢印で示されている。青い縞模様部分に微かに見える白い雲は、ヨーロッパ大陸ほどの大きさである。 [天王星の最小衛星の発見]
 左:再発見された衛星S/1986U10。S/1986U10は、1986年ボイジャー2号が撮った画像の再解析を行ったエリック・カリコシュカ博士(LPL)によって1999年に発見された。しかしその後地上の望遠鏡で観測できなかったため、2001年末に衛星としての資格を取り消された。その後2003年にHSTが撮ったこの画像で再発見され、間違いなく天王星の周囲を回っていることが確認された。右:新たな小衛星S/2003U1を発見。
[衛星アリエル(エアリアル)]
 1986年1月24日,ボイジャー2号が13万kmの距離から撮影したもの。表面には多数のクレーからなる起伏の多い地形や、何百kmにも及んで繋がり合った谷などがある。この地形から、アリエルではかつて大規模な地殻運動があったと考えられている。
[衛星ティタニア(チタニア)]
 天王星の衛星の中では最大の星。低密度ながら表面に多くのクレーター地形と、相互に繋がった渓谷が見られる(白く明るい部分)。全体的に、表面は若い地形。大きさを除けば、アリエルとよく似ている。1986年1月24日早朝、ボイジャー2号が50万kmの距離から撮影。
[衛星ミランダ]
 南極方向の写真。表面にたくさんの亀裂があり、複雑な地形をしていることがわかる。1986年1月24日、ボイジャー2号が14万7000kmの距離から撮影。

[衛星ミランダについて]-------------------------------------------------------------
 5大衛星のうち最も内側を回る。半径わずか250kmのこの衛星の表面には、まるで何かでひっかかれたような巨大な地形や深さ0.5〜50kmにも達する渓谷(グランドキャニオンの12倍の深さ)・亀裂が見られる。ある地形は若く、明暗の縞模様のある複雑な地形を見せる。またある地形は古くて、大きなクレーターを持つ。このような地形は、過去にミランダが破壊された後再度集積するという作業を何度か繰り返した跡だという説もあるが、まだその原因はわかっていない。そのためミランダは、「奇妙な継ぎはぎ衛星」と呼ばれることがある。
-----------------------------------------------------------------------------------


[天王星の衛星のうち、名前が付いているもののデータ]
番号 衛星名 発見者
(発見年)
軌道長半径 公転周期
(地球日)
赤道半径 質量
[密度g/cm3
離心率 アルベドと光度 表面の物質組成
I Ariel
アリエル
W.Lassell
(1851年)
190,945 km 2.52037935 地球日 581.1 x 577.9 x 577.7 km 1.35 x 1021 kg
[1.670]
0.0034
0.35
(15等)
氷と岩石の混合物
II Umbriel
ウンブリエル
265,998 km 4.1441772 地球日 584.7 km 1.17 x 1021 kg
[1.400]
0.0050
0.19
(16等)
III Titania
ティタニア
W. Herschel
(1787年)
436,298 km 8.7058717 地球日 788.9 km 3.53 x 1021 kg
[1.710]
0.0022
0.28
(14等)
IV Oberon
オベロン
583,519 km 13.4632 地球日 761.4 km 3.01 x 1021 kg
[1.630]
0.0008
0.25
(14等)
V Miranda
ミランダ
G.P. Kuiper
(1948年)
129,872 km 1.41347925 地球日 240.4 x 234.2 x 232.9 km 6.6 x 1019 kg
[1.200]
0.0027
0.27
(17等)
VI Cordelia
コーデリア
Voyager2
(1986年)
49,752 km 0.3350338 地球日 13 km
0.00026
0.07 -
VII Ophelia
オフィーリア
53,763 km
0.376400 地球日
15 km
0.0099
-
VIII Bianca
ビアンカ
59,166 km 0.43457899 地球日 21 km
0.0009
-
IX Cressida
クレシダ
61,767 km 0.463570 地球日 33 km
0.000
-
X Desdemona
デスデモーナ
62,658 km 0.47364960 地球日 27 km
0.0001
-
XI Juliet
ジュリエット
64,358 km 0.49306549 地球日 42 km
0.00066
-
XII Portia
ポーシャ
66,097 km 0.51319592 地球日 54 km
0.0000
-
XIII Rosalind
ロザリンド
69,927 km 0.55845953 地球日 27 km
0.0001
-
XIV Belinda
ベリンダ
75,256 km
0.62352747 地球日 33 km
0.00007
-
XV Puck
パック
86,004 km 0.76183287 地球日 77 km
0.00012
-
XVI Caliban
キャリバン
B.J. Gladman, P.D. Nicholson, J.A. Burns, J.J. Kavelaars
(1997年)
7,169,000 km 579.379 地球日 〜40 km -0.082 -
XVII Sycorax
シコラックス
12,213,000 km 1284 地球日 〜80 km
0.509
-
XVIII 1986U10 発見後、衛星が行方不明となったため、国際天文連合による認定を取り消された。 0.638 地球日 〜20 km 2003年、ハッブル宇宙望遠鏡によって再発見された。-
XIX Setebos
セティボス
J.J. Kavelaars, B.J. Gladman, M. Holman, J.-M. Petit, H. Scholl
(1999年)
17,879,000 km 2345 地球日 〜15 km - 0.07 -
XX Stephano
ステファーノ
7,979,000 km 676 地球日 〜10 km
XXI Prospero
プロスペロー
16,665,000 km 1953 地球日 〜15 km
XXII Trinculo
トリンキュロー
(2002年8月) ? ? 5 km -
※数値は『理科年表(平成16年度版)』、『Solar System Exploration』(JPL)等を参照。



7.天王星に関係する天文学者たち

 ハーシェル Wilhelm Herschel (1738〜1822)
 英名William Herschel。ハノーバーに生まれたが、若いうちにイギリスに渡り、バースの楽団のオルガン奏者となった。プロの音楽家だったが、音楽理論を研究するうちに数学に興味を持ち始め、次第に興味の対象を光学・天文学へと移していった。とくに天文学に深い興味をもち、反射望遠鏡を自作して夜空を観測するほどの熱心ぶり。1781年には、その自作望遠鏡によって天王星を発見。一夜にして有名になった。当初、彼は自分が見つけた星を惑星ではなく“彗星”だと思っていたが、継続的な位置観測等によってそれが惑星であることを確信。見つけた惑星の名前を、当時色々と助けてもらっていたイングランドとハノーバーの王、ジョージIII世に因んで「ゲオルギウム・シドゥス Georgium Sidus(=ジョージの星)」)」と呼ぶことにした。
 その後ジョージIII世によって王室付きの天文官に任じられ、残りの生涯を観測に捧げた。その観測において、土星の二つの衛星と天王星のニつの衛星(ティタニア・オベロン)を発見。数千の二重星・星団・星雲も発見した。また銀河系の形状を初めて推定した人物でもあり、当時最高の望遠鏡作成者でもあった(自作の40フィート反射望遠鏡には19世紀半ばまで他の追随を許さなかった)。彼は観測者としての生涯をずっと妹のキャロライン(Caroline 1750〜1848)によって助けられた。彼女自身も立派な天文学者であり、八個の彗星と多くの星団、星雲を発見している。引退後はバッキンガム近郊のスラウに住んだ。彼が庭で天王星を発見したバースの旧家は保存され、小さな博物館となっている。

 ラッセル William Lassell (1799〜1880)
 イギリスのアマチュア天文学者。職業は醸造業。リバプールに立派な天文台を立て、大きな反射望遠鏡を置いて、海王星の最大の衛星トリトンを見つけた。この発見は海王星自身の発見からわずか17日後のことである。また天王星の内側の衛星であるアリエルを発見し、ハーシェルが存在に気づいていたウンブリエルを再発見した。ラッセルはボンドとともに、土星の衛星ハイペリオンの発見者の一人でもある。後に彼は装置をマルタ島に運び、星雲の研究を行って600個の星雲を発見した。

 カイパー Gerard Peter Kuiper(1906〜1973)
 オランダの天文学者。海王星の衛星ネレイド・天王星の衛星ミランダを発見する。彼は1928年にライデン大学の天文学助手となった後、1933年にはアメリカに移住、1937年にはアメリカの市民権を得て、そこに永住した。勤務先としては、1933-35年はリック天文台、1935-36年はハーバード大学、1936-37年はシカゴ大学、そして1939-60年にはテキサス大学のマクドナルド天文台に勤め、後年は台長となった。1947-59年と1957-60年はヤーキス天文台の台長も兼任している。1960年アリゾナ大学に行き、月・惑星研究所を設立。カイパー自身は月と惑星の研究に関わり、月の写真地図の編集を行った。この地図は1960年代に月軌道衛星の結果が得られるまでは標準となるものであった。また木星と土星の最初の理論的研究を行ったのも彼であり、火星大気中の二酸化炭素の存在の最初の証拠も彼により発見された。1944年には土星最大の衛星タイタン(Titan)に大気が存在することを確証した。彼は月面車による探査の主任科学者でもあり、1967-70年には国際天文学連合の火星地名命名に関する小委員会の議長を務めた。多くの著作や論文があるが、とくに初期のロケットによる月・惑星探査に深く関わった人物である。1974年3月マリナー10号により最初に見つかった水星のクレーターには、彼の名が冠せられた。

 レクセル Anders Johan Lexell (1740〜1784)
 当時スウェーデン領であったアボに生まれたフィンランドの天文学者。ペテルスブルグで天文学教授となり、月の運動理論をたて、彗星の運動についても研究を行った。彼は、1770年にメシエによって発見された彗星の軌道を計算したため、この彗星はレクセル彗星と呼ばれている(この彗星は現在は見失われてしまった)。また別の業績としては、ハーシェルが1781年に見つけた新天体が、ハーシェルが確信していた通りの惑星(天王星)であることを示したことが挙げられる。



8.ハッブル宇宙望遠鏡による観測成果
 ハッブル宇宙望遠鏡(HST:Hubble Space Telescope)は、ボイジャー2号の接近以来初めて天王星の詳細画像を撮影し、天王星の解明に多大な貢献をした。以下に、1993年12月の第1回サービス・ミッション後にハッブル宇宙望遠鏡によってもたらされた天王星関連の観測成果を列挙する。

PR94-50 1994年11月2日 ボイジャー2号以来、初めて天王星の表面の模様環、衛星を検出する。具体的には、南半球の明るい雲や、少なくとも5つの内側の衛星が検出された。
PR96-15 1996年4月24日 天王星の大気の様子をとらえる。大気の3層構造についての詳細が明らかになり、惑星の外縁を覆う“かすみ”の存在もはっきりと確認された。
PR97-36 1997年11月20日 天王星の北半球に雲を検出。表面の縞模様や数多くの雲の存在が確認され、雲の動きから北半球の風速が測定された。
PR98-35 1998年10月14日 天王星にたくさんの明るい雲をキャッチ。これまで天王星で観測された雲の数では一番多く、20個の雲が確認された。
PR99-11 1999年3月29日 天王星に、巨大な春の嵐を発見。嵐の一つ一つが、カンザス州からニューヨークまでをすっぽり覆うほどの大きさ。1986年ボイジャー訪問時と比べると、外部太陽系で最も明るい雲が動くダイナミックな気候変動が起こっていることが明らかになった。
PR03-29 2003年9月25日 天王星周囲に、最小の衛星2つを発見。具体的には、“S/1986 U10”の再発見と“S/2003 U1”の新発見をした。
PR04-05 2004年1月22日 天王星・海王星の大気の様子を撮影。
[引用:HST ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙2』沼沢茂美・脇屋奈々代著(誠文堂新光社)、ホームページ「HubbleSite」(STScI) http://hubblesite.org/



[参考書籍]
・『理科年表 平成16年(机上版)』(丸善株式会社) 国立天文台
・『図説 われらの太陽系 T.総論・外部太陽系』(朝倉書店) 寺沢敏夫  1985年
・Newtonムック『太陽系のふしぎ』(ニュートンプレス) 原恵/渡部潤一 2004年
・Newton別冊『最新探査機がとらえた火星と土星』(ニュートンプレス) 2004年10月25日号
・Newton別冊『改訂版 太陽系全カタログ』(ニュートンプレス)  2002年11月1日号
・Newton別冊『改訂版 太陽系大図鑑』(ニュートンプレス) 2002年3月10日号
・Newron別冊『太陽系グランドツアー』(教育社) ニュートンプレス  1991年6月10日号
・『最新 図表地学』(浜島書店) 2003年
・『ハッブル望遠鏡が見た宇宙』(岩波新書)野本陽代, R.ウィリアムズ 1997年
・『続ハッブル望遠鏡が見た宇宙』(岩波新書)野本陽代 2000年
・『HST ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙』沼沢茂美・脇屋奈々代著 誠文堂新光社 1997年
・『HST ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙〈2〉』沼沢茂美・脇屋奈々代著 誠文堂新光社 1999年
参考web
・「Solar System Exploration」ジェット推進研究所 http://sse.jpl.nasa.gov/ (英語)
・「Planetary Photojournal」ジェット推進研究所 http://photojournal.jpl.nasa.gov/index.html (英語)
・「HubbleSite」宇宙望遠鏡科学研究所 http://hubblesite.org/ (英語)
・「The Nine Planets」 Bill Arnnett http://www.nineplanets.org/ (英語)
・「JAXAクラブ」 宇宙航空研究開発機構 https://www.jaxaclub.jp/ (日本語)
・「日本惑星協会」日本惑星協会 http://www.planetary.or.jp/ (日本語)
[使用画像]
HST(ハッブル宇宙望遠鏡):AURA/STScI/NASA
Image Credit: NASA,JPL, JAXA
HST,ボイジャー2号によって撮影された写真については、上述のジェット推進研究所(JPL)ホームページ内から入手。NASA,JPL,JAXA著作物の使用については、各HP内のサイトポリシーに関したページを参照の上で掲載。
・JPL/NASA内の該当ページ:http://www.jpl.nasa.gov/images/policy/ (英語)
・JAXA内の該当ページ:http://www.jaxa.jp/policy_j.html (日本語)
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