海王星データブック
[初稿掲載日:2004年10月15日. 最終修正日:2004年10月30日]
1.基本データ
[海王星の概観]
英語名:Neptune[シンボルマーク]. 太陽系第8惑星。海王星は、18世紀以降になって望遠鏡によって“発見された”惑星の一つである(天王星・冥王星も同様)。新しく見つかった3つの惑星のうち、海王星は天体力学上の理論計算によって存在場所を特定・発見された最初の惑星とされている。木星型惑星(巨大ガス惑星/巨大氷惑星)のうちでは、天王星とともに巨大氷惑星とされ、大きさ・質量・組成ともに天王星と非常によく似ている。大きさは地球の約3.9倍で天王星よりもやや小さく、木星型惑星では最小・最遠。赤道半径は天王星とほぼ同じで約25,000kmだが、質量は天王星よりも少し大きい。そのため平均密度は木星型衛星では最大である。
海王星の主な特徴の一つは、2000 km/h (1200 mph.地球のジェット気流の4倍)という超高速の風が吹いていることである。表面には巨大な暗い斑点“大暗斑(Great Dark Spot)”があり、反時計回りに回転しながらおよそ18.3時間で海王星を西回り一周する。またボイジャー2号によって「スクーター(The Scooter)」と呼ばれる白い巻状雲も見つかっている。スクーターは、東向きの高速の風に乗って形を変えながら16.7時間程度で海王星を一周する。この白い雲は、CH4が凍ったものと考えられている。
他にも、入射する太陽光の2倍以上のエネルギーを内部から放出するという、大きなエネルギーの不均衡が知られている。これらの事実から、木星・土星同様に、海王星の内部にも大きな熱源が存在するのではないかといわれている。公転軌道は冥王星(注釈1参照)と交差しており、1979-1999年までは海王星が太陽系最遠の惑星となっていた。このように海王星は、248年ごとに約20年間ほど、冥王星に代わって最果ての惑星となる。
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[海王星の全体像]
1989年8月、海王星から440万kmの距離でボイジャー2号撮影。 |
[表面のクローズアップ]
写真から、3種類の雲が確認できる。まず画面左に見える濃青のシミのようなものが“大暗斑”、その下で横にたなびく白い雲が高層雲、そのさらに下にある二つの小さな白い巻状雲が“スクーター”。(1989年ボイジャー2号撮影) |
[大暗斑のクローズアップ]
大暗斑は、海王星を覆う厚いメタンの雲に開いた大穴であり、反時計回りに回転する高気圧性の渦。300
m/s (700 mph)の西向き風が吹いている。大きさは地球の直径とほぼ同じで、木星の大赤斑の半分程度。1989年、ボイジャー2号が280万kmの距離から撮影。 |
[大暗斑周囲の雲の発達]
ボイジャー2号によって撮られた連続写真。上段と下段を比較すると、大暗斑のが少しずつ形を変えていっていることがわかる。白くて明るい巻雲は、数10時間間隔で急速に形を変え、消散を繰り返す。海王星大気は極寒(-55K)のため、この巻雲は凍ったメタンで出来ていると考えられている。 |
[注釈]――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・注1:冥王星の公転軌道は強い楕円を描くため(軌道長半径39.5A.U.、離心率0.2490)、海王星(軌道長半径30.1A.U.、離心率0.0085)の公転軌道と交差している。海王星の公転軌道は、離心率から見てわかるように、ほぼ円に近い。
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[略年表]
| 1612年12月 |
イタリアのガリレオ・ガリレイが、海王星を初めて観測。たまたま木星のごく近くに海王星が見えたので、惑星であることに気づかぬままそれを記録していた(「恒星(star)だろう」と思っていた)。彼はその後2日ほど連続して海王星を観測し、海王星が恒星の近くから別の恒星に向かって少しずつ動いていることに気づいた。しかし彼の興味は別のところにあったため、それ以上の継続的な観測を止めてしまった。 |
| 1781年 |
ハーシェルが天王星を惑星として発見。 |
| 1795年 |
フランスの天文学者ラランドが、海王星を恒星として星図に記録。ガリレオ同様、海王星が惑星であることには気づかなかった。 |
| 1795〜1845年 |
ハーシェル(and 彼以前の天文家達)が遺した天王星の位置観測記録と、ニュートン力学に基づいた計算から求められる天王星の軌道が一致しないことから、天王星の軌道に何か他の天体が影響を及ぼしているのではないかと考えられ始めた。その天体は天王星の外側を回っていて、まだ発見されていない未知の惑星ではないだろうかと考えられ始めた。 |
| 1845年 |
イギリスのアダムスが海王星の存在場所を、複雑な計算を駆使して予測(1841年計算開始,1845年9月計算終了)。同様の計算を、少し遅れて1845年夏にフランスのルヴェリエも実施。1846年6月に計算を終えた。二人はそれぞれ別々に海王星位置の予測を行ったが、その計算結果はほぼ同じだった。二人が計算の大前提にしたのは、惑星軌道の大きさに関する見かけの規則性“ボーデの法則”(注釈2参照)。 |
| 1846年9月23日 |
アダムスは計算結果をイギリス国内の天文台に送って新惑星探しを依頼したが、どこも打てあってくれなかった。一方、ルヴェリエも同じ状況で、フランス国内の天文台は依頼に応えてくれなかった。そのためルヴェリエは仕方なくドイツのベルリン天文台助手のガレに手紙を書き、新惑星探しを依頼した。1986年9月17日に送られてきたデータを元に、ベルリン天文台のガレとダルストが9月23日から海王星探しを開始。捜索1日目にして、海王星を発見する。そのわずか17日後に、イギリスのラッセルによって第一衛星トリトンが発見される。 |
| 1977年8月20日 |
惑星探査機ボイジャー2号打ち上げ。 |
| 1979年 |
海王星の軌道が冥王星の外側になったため、海王星が最も遠い惑星となる。 |
| 1989年8月25日 |
惑星探査機ボイジャー2号が海王星の上空4,800kmまで最接近。ボイジャーによって地球に送られてきた画像約10,000枚の中から、新しく6個の衛星と4つのリングが発見された。 |
| 1994年 |
ハッブル宇宙望遠鏡の観測によって、海王星の南半球の大暗斑が消失していることが確認される。さらに数ヶ月後の観測では、北半球に新しい暗斑が発見された。 |
| 1999年2月 |
“最果ての惑星”の座を冥王星に再び譲る。 |
| 2011年 |
海王星が、発見以来初めて公転軌道約165年を一周する。 |
[注釈2]――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
・チチウス・ボーデの法則。太陽から地球の距離を10とすると、他の惑星まで距離は3の倍数に4を加えたものになる、というもの。具体的には金星から順にn=0,1,2…と番号を振って、惑星の平均軌道半径を(4+3×2n)/10の計算結果として算出する。
ボーデの法則の公式:軌道半径D=0.4+(0.3×N).
N=2n。Dの値はA.U.(天文単位)で算出される。
[ボーデの法則の計算結果と、実際の平均軌道半径]
| 惑星名 |
n |
ボーデの法則に基づいた、各惑星の予想軌道半径 |
実際の平均軌道半径 |
備考 |
| 水星 |
-∞ |
0.4 |
0.39 |
この範囲の惑星には、ボーデの法則がよくあてはまる。 |
| 金星 |
0 |
0.7 |
0.72 |
| 地球 |
1 |
1.0 |
1.00 |
| 火星 |
2 |
1.6 |
1.52 |
| 小惑星セレス |
3 |
2.8 |
2.77 |
| 木星 |
4 |
5.2 |
5.20 |
| 土星 |
5 |
10.0 |
9.54 |
| 天王星 |
6 |
19.6 |
19.19 |
| 海王星 |
7 |
38.8 |
30.06 |
この範囲の惑星は、ボーデの法則から大きく外れている。ボーデの法則が出来た1766年当初は、海王星と冥王星はまだ発見されていなかったため、考慮に入れられていなかった。 |
| 冥王星 |
8 |
77.2 |
39.53 |
アダムスとルヴェリエはこのボーデの法則に従って、海王星の軌道半径を天王星の約2倍と仮定して計算を進めていった。アダムスが計算した海王星の軌道半径は36.1539、ルヴェリエのそれは37.2431でほとんど同じだったが、実際の軌道半径からは大きく外れていた。ゆえに本来ならば二人の出したデータに基づいて海王星が発見されるはずはなかった。だが1846年当時は、実際の軌道半径(楕円)の縁と予測半径(楕円)のそれがたまたま近接していたため、発見することが出来た。あと数十年遅かったら(または早かったから)、実際の軌道半径とのズレが大きくなるため、海王星は発見できなかっただろう。このように新惑星が持つ実際の軌道半径とのズレが大きいことが明らかになったボーデの法則は、現代の天文学ではほとんど意味を持たない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[惑星の基礎データ]
| - |
木星型惑星(巨大氷惑星) |
地球型惑星 |
海王星
Neptune |
天王星
Uranus |
火星
Mars |
地球
Earth |
金星
Venus |
| 太陽からの距離 |
近日点:a(1-e)
(km) |
4.45963 x 109
(29.811 A.U.) |
2.73556 x 109
(18.286 A.U.) |
2.066 x 108
(1.381 A.U.) |
1.471 x 108
(0.983 A.U.) |
1.07476 x 108 (0.718 A.U) |
長半径:a
(km) |
4.4982529 x 109
(30.069 A.U.) |
2.8709722 x 109
(19.191 A.U.) |
2.2793664 x 108
(1.523662 A.U.) |
1.4959789 x 108
(1.000 A.U.) |
1.0820893 x 108
(0.723332 A.U.) |
遠日点: a(1+e)
(km) |
4.53687 x 109
(30.327 A.U.) |
3.00639 x 109 (20.096 A.U.) |
2.492 x 108 (1.666 A.U.) |
1.521 x 108
(1.017 A.U.) |
1.08942 x 108
(0.728 A.U.) |
| 軌道離心率 e |
0.00859
(0.514 x Earth)
|
0.047168
(2.823 x Earth) |
0.0934
(5.59 x Earth)
|
0.01671022
|
0.0068
(0.405 x Earth) |
| 軌道面に対する赤道の傾斜角度(°) |
27.8 |
97.86 |
25.19 |
23.44 |
177.4 |
| 対恒星公転周期 P |
164.774 地球年
(=60182 地球日) |
84.0223 地球年
(=30688 地球日) |
686.98 地球日 |
365.26 地球日 |
224.70 地球日 |
| 地球からの距離 |
最近距離(A.U.) |
28.78 |
17.26 |
0.3647 |
- |
0.2549 |
| 最遠距離(A.U.) |
31.33 |
21.104 |
2.6826 |
- |
1.7450 |
| 自転周期 |
16時間6分7秒 |
17時間14分24秒 |
24時間39分35秒 |
23時間56分4秒 |
243.02 日
(逆回り) |
| 赤道半径(km) |
2.4764 x 104
(3.883 x Earth) |
2.5559 x 104
(4.007 x Earth) |
3.397 x 103
(0.5326 x Earth) |
6.37814 x 103 |
6.0518 x 103 |
| 赤道円周(km) |
1.55597 x 105 |
1.60592 x 105 |
2.1344 x 104 |
4.0075 x 104 |
3.8025 x 104 |
偏平率:
(赤道半径−極半径)/赤道半径 |
0.023
(1/59) |
0.017
(1/43) |
0.0052
(1/192) |
0.0034
(1/294) |
0.0 |
| 赤道重力(m/s2) |
10.71
(1.11 x Earth) |
8.43
(0.89 × Earth) |
3.693
(0.38 × Earth) |
9.766 |
8.87
(0.91 × Earth) |
| 脱出速度(m/s) |
2.3710 x 104
(2.101 x Earth) |
2.1290 x 104
(1.904 x Earth) |
5.02 x 103
(0.449 x Earth) |
1.1180 x 104 |
1.036 x 104
(0.927 x Earth) |
| 軌道平均速度(m/s) |
5.4778 x 103
(0.490 x Earth) |
6.8352 x 103
(0.229 x Earth) |
2.41309 x 104
(0.810 x Earth) |
2.97859 x 104 |
3.50214x 104
(1.176 x Earth) |
| 軌道円周(km) |
2.8142 x 1010
(30.44 x Earth) |
1.762 x 1010
(19.06 x Earth) |
1.3669 x 109
(1.479 x Earth) |
9.243757 x 108 |
6.753 x 108
(0.731 x Earth) |
| 体積( km3) |
6.2526 x 1013
(57.744 x Earth's) |
5.9142 x 1013
(63.1 x Earth) |
1.6314 X 1011
(0.150 x Earth) |
1.0832 x 1012 |
9.284 x 1011
(0.88 x Earth's) |
| 表面積( km2) |
7.6408 x 109
(14.980 x Earth) |
8.1156 x 109
(15.91 x Earth) |
1.441 x 108
(0.282 x Earth) |
5.100657 x 108 |
4.602 x 108
(0.902 x Earth) |
| 質量 |
(kg) |
1.0244 x 1026 |
8.6849 x 1025 |
6.4185 x 1023 |
5.9737 x 1024 |
4.8685 x 1024 |
| (地球=1) |
17.147 |
14.371 |
0.10744 |
1.0000 |
0.8150 |
| (太陽=1) |
5.1514×10-5 |
4.3663×10-5 |
3.2272×10-7 |
3.0404×10-6 |
2.4478×10-6 |
| 平均密度( g/cm3) |
1.76
(0.317 x Earth) |
1.27
(0.236 x Earth) |
3.94
(0.714 x Earth) |
5.515 |
5.24 |
| 反射能 |
0.65 |
0.82 |
0.16 |
0.30 |
0.78 |
| 極大光度(等) |
+7.8 |
+5.3 |
-3.0 |
― |
-4.7 |
| 平均受熱量 (地球=1) |
0.0011 |
0.0027 |
0.43 |
1.00 |
1.91 |
| 有効放射温度(K) |
59 |
57 |
186〜268
|
251 |
240 |
| 地表温度(K) |
- |
- |
25(赤道夏)〜-136(極点冬) |
288/
185/331 (平均/最低/最高) |
735 |
| 表面の物質組成 |
H2, He, CH4 |
H2, He, CH4 |
玄武岩質岩石 |
水と玄武岩質岩石+花崗岩質岩石 |
玄武岩質(+花崗岩質)岩石 |
| 大気の主成分 |
H2, He, CH4 |
H2, He, CH4 |
CO2,N2, Ar |
N2, O2 |
CO2 ,N2 |
| 衛星数 |
13個以上 |
27個以上 |
2 |
1 |
なし |
| リングの数 |
4 |
11 |
なし |
なし |
なし |
※数値は『理科年表(平成16年度版)』、『Solar System Exploration』(JPL)等を参照。
2.内部構造

地球の内部構造
(提供:JAXA) |

海王星の内部構造
(提供:JAXA) |
天王星と同じように、大気の主成分はH2・CH4・He。その下は、HeとCH4を含む液体水素の層、さらにその下は窒素や酸素との化合物になった液体水素の層がある。
木星や土星と違って、中心にあるのは高圧の液体水素・金属水素ではなく、岩石や氷からなる地球の質量程度のコアが存在すると考えられている。その周囲にマントル(液状のコア:NH3・CH4が混じった分厚い氷の層)、マントル上空にはHeとCH4ガスを含むH2ガスの層が取り巻いている(=2層構造)。また平均密度が木星型惑星の中では一番大きいことから、核の占める割合が他の木星型惑星より多いと予想されている。
海王星の表面は青色。上空の層に含まれるCH4が太陽光の中の赤橙色・赤色の光を吸収し、青色の光を反射する。そのため地球から海王星を見ると綺麗な青色に見える。同様のことは天王星でも起こっているが、海王星のほうが短期間によりダイナミックな大気運動をしていることから考えると、大気中のメタンが化学変化を起こす頻度も上がっていることが想像できる。そのため海王星のほうが、綺麗な青色をしているのだろう。 |

木星の内部構造
(提供:JAXA) |

天王星の内部構造
(提供:JAXA) |
[参考:海王星の主要物質の融点および・沸点]
| 物質 |
融点(℃) |
沸点(℃) |
海王星(-210℃)での状態 |
地球(平均気温15℃)での状態 |
| H2 |
-259.14 |
-252.87 |
気体 |
気体 |
| He |
-272.2
(26気圧下) |
-268.934 |
気体 |
気体 |
| CH4 |
-182.6 |
-161.5 |
固体(or 液体) |
気体 |
| NH3 |
-77.7 |
-33.48 |
固体 |
気体 |
| C2H2 |
-80.8
(三重点) |
-84.0
(昇華点) |
固体 |
気体 |
| C2H6 |
-183.6 |
-88.6 |
固体(or 液体) |
気体 |
| CO |
-205 |
-191.6 |
固体(or 液体) |
気体 |
※数値は『理科年表(平成16年度版)』を参照。
3.自転軸と磁軸
海王星の自転軸は約28°傾いており、地球のそれ(23.4°)と近い。そのため海王星からは、四季の存在を示すような観測データが得られている。ただし仮に季節が存在したとしても、地球とはだいぶ様子が異なるだろう。公転周期が約164年もあることから、各季節が約40年ずつくらいの期間を持つことになる。
また天王星同様、磁軸は自転軸から大きくずれている(約46.8°のズレ)。磁場の中心も南半球側に大きく片寄っており、北半球に比べて南半球は10倍の強さの磁場をを持つ。またボイジャー2号によって海王星上空(惑星全体)でオーロラが観測されたことから、地球とは異なる電磁場メカニズムが働いている可能性がある。
 |
[天王星・海王星の大気の様子] 上段:自然色。自然色で見ると、天王星と海王星はまるで双子のようだ。下段:肉眼では識別不能な惑星の特徴を捉えるために、上段とは異なる色フィルターを使った写真。画面左側が南極。どちらも縞模様と霞が見られるが、自転軸の違いがはっきりと現れている。天王星は自転軸がほぼ直角に傾いているため、大気中の雲の流れを示す縞模様もそれに従って回っている。一方、海王星の自転軸の傾きは約23であり、縞模様もそれに呼応した出来方をしている。2003年8月HST撮影。 |
4.大気組成
大気の主成分はH2とHeで、それにCH4等の水素化合物が少し含まれている。 大気圏は高度80kmまでの対流圏と、それより上の成層圏に分けられる。成層圏にはホウキで掃いたような形の絹雲状の雲がある。他の木星型惑星と異なり、大気はその大部分が西向きに運動している。雲の種類としては3つあり、大暗斑(高気圧性の巨大な渦)と、その周囲の白い高層雲、スクーターと呼ばれる巻状雲がある。これからの雲の存在から、海王星の上層大気は短い期間で大きく変化していることがわかる。
このように海王星の大気を不安定にし、大規模な天候の変化を引き起こす原因は、内部の熱源と超低温の雲の上部との温度差にあるのではないか、といわれている。
[HST画像で見る海王星大気の変動]
 |
 |
 |
[海王星の3日(3回転)を示す組写真]
上段の2枚が1996年8月11日、下段の2枚が1998年8月13日に撮影されたもの。白く輝く雲が、左から右へと移動している。1995年にHSTに発見された暗斑はまだ残ってはいるものの、かなり色が薄くなって弱まっている。この写真から、海王星の模様がほんの2〜3日で大きく変わることが明らかになった。疑似カラー。 |
[1996,1998,2002年の海王星の雲の年変遷]
木星型惑星特有の縞模様がよく観察できる。縞模様は大気の流れであり、年々白い雲の量が増えていっていることがわかる。海王星は太陽から約30AUの距離にあるため、太陽から受けるエネルギー量は地球の1/900。それにも関わらず、このようなダイナミックな気候変動が起こっている。疑似カラー。 |
[海王星大気のダイナミックな変動を捉えた写真] 左:1994年10月10日、右:10月18日、中央:11月2日。海王星の模様が日を追って変化している。ピンク色に見えるのが雲で、海王大気中の高高度に存在するメタン氷結晶雲や霞を示している。実際の雲の色は白。 |
[大気組成データ]
| - |
木星型惑星(巨大氷惑星) |
海王星の衛星 |
地球型惑星 |
地球の衛星 |
| 物質名 |
海王星 |
天王星 |
トリトン |
火星 |
地球 |
月 |
モル比
(水素量を1とした場合) |
モル比 |
体積百分率 |
体積百分率 |
体積百分率 |
体積百分率 |
| H2 |
1 |
0.85 |
- |
- |
- |
- |
| He |
0.22 |
0.15 |
| Ne |
- |
- |
2.5×10-4 |
1.8×10-3 |
| Ar |
1.6 |
9.3×10-1 |
| Na |
- |
- (変化する) |
〜80 (変化する) |
| K |
- |
〜20 (変化する) |
| N2 |
〜100 |
2.7 |
78 |
- |
| O2 |
- |
1.3×10-1 |
21 |
| CO2 |
95 |
3.2×10-2 (漸増しつつある) |
| SO2 |
- |
- |
| H2O |
3×10-2
(変化する) |
1〜2.8 (変化する) |
| CO |
〜10-6 |
7×10-2 |
1.2×10-5 |
| O3 |
- |
3×10-6 |
- (変化する) |
| CH4 |
0.02 |
6×10-3 |
- |
- |
| NH3 |
3×10-6 |
- |
| C2H2 |
10-6 |
2×10-4 |
| C2H6 |
<
2×10-8 |
- |
| PH3 |
|
| 表面大気圧(bar) |
1.6×10-5 (変化する) |
0.006 |
1 |
10-17
(変化する) |
| 大気量(g) |
- |
2.4×1019 |
5.3×1021 |
- |
| 〃(km・atm) * |
225±75 |
225±75 |
- |
- |
- |
| 有効温度(K) |
55±2 |
< 59.4 |
40 |
250 |
295(太陽直下) |
325 |
| 表面温度(K) |
- |
- |
|
- |
- |
- |
*…水素量,1気圧,0℃における厚さ(km)。※数値は『理科年表(平成16年度版)』を参照。
5.環データ
他の木星型惑星同様に、海王星にも環(rings)がある。しかし土星のように明るい環ではなく、非常に暗い。そのため地球の望遠鏡で海王星の環を見ると、完全なリングではなく、途切れ途切れの弧(RingArcs)に見える。一方、ボイジャー2号が海王星に接近して撮った写真には、環は完全なリングとして写っていた。この原因は、海王星の環を形成している物質の反射能が非常に低いことにあると考えられている。
環は全部で4本あり、色の濃い2本の環と、薄い2本の環に分けられる。いずれも海王星の中心から赤道半径の1.5〜2.5倍の距離にあり、天王星のリング同様に非常に暗い。また海王星の環の一部は、線がねじれて(出来ているようにも見える。
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[アダムス環に見られる3箇所の濃い弧]
海王星から110万kmの距離でボイジャー2号撮影。 |
[アダムス環のクローズアップ写真]
リングがねじれているように見える。(ボイジャー2号撮影) |
[海王星の4つの環]
海王星の環は非常に微かなものであるため、海王星本体を遮蔽して撮影(中央に黒いラインが入っているのはそのため)。1989年8月26日、28万kmの距離からボイジャー2号撮影。 |
[アダムス環とルベリエ環]
海王星の二つの主な明るい環が写っている。また、さらに二つの微弱な環を持つことが、この写真から発見された。1989年8月、ボイジャー2号が海王星最接近後に72万kmの距離から撮影。 |
[環のデータ]
| 環の名称 |
惑星中心からの距離 |
幅 |
厚さ
(km) |
質量
(g) |
反射能 |
備考 |
| 惑星半径=1 |
km |
Galle ガレ
(1989N3R) |
1.72 |
41,900 km |
2,000 km |
- |
- |
低い |
拡散リング。最も内側にあるリング。 |
| (ナイアッド |
1.98 |
48,000 km) |
- |
| (タラッサ |
2.06 |
50,000 km) |
| (デスピナ |
2.16 |
52,500 km) |
Le Verrier
ルベリエ
(1989N2R) |
2.19 |
53,200 km |
110 km |
- |
- |
低い |
内リング。 |
Lassell ラッセル
(1989N4R)
|
2.19-2.43 |
53,200 km |
4,000 km |
- |
- |
- |
幅広く拡散していて、見えづらい。 |
Arago アラーゴ
(1989N4R) |
57,200 km |
< 100 km |
- |
- |
低い |
| (ガラテア |
2.55 |
62,000km) |
- |
- |
Adams アダムス
(1989N1R) |
2.59 |
62,930 km |
< 50 km |
- |
- |
低い |
主リング。最も明るいリング。3箇所に濃い弧の部分あり、内側から順にリベルテ(自由)、エガリテ(平等)、フラテルニテ(博愛)とフランス語の名前が付けられている。 |
※数値は『理科年表(平成16年度版)』、『Solar System Exploration』(JPL)等を参照。
6.衛星データ
海王星には、現在13個以上の衛星があることがわかっている(2003年10月現在)。具体的にはトリトン・ネレイドと、その後発見された小衛星たちである。ボイジャー2号によって発見された小衛星たちは、反射能がいずれも低く、海王星の反射光によって見えなくなってしまう。そのため地上観測での発見が困難だった。
なお第一衛星トリトンは、最近温暖化していることがHSTの観測によって確認されている。
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[海王星とトリトン]
大きな球形が海王星、小さい球形がトリトン。共に三日月状に写っている。(1989年8月25日海王星最接近の78時間後に、ボイジャー2号が486万kmの距離から撮影)。★トリトンの地平線から見た海王星 |
[衛星トリトンの表面]
滑らかな部分と、谷や溝のある凸凹な地形がある。広大な南極冠を覆うピンク色の被覆物は、太陽光と反応するメタンの氷。赤道付近に広がる青緑色の部分は新鮮な窒素の霜。画面左下の黒い筋は、窒素ガス(or 炭素質の物質)の噴煙。(いずれもNASAの推定段階のコメント。1989年ボイジャー2号撮影) |
[衛星ネレイド]
海王星の衛星の中では3番目に大きく、最も外側の軌道を回っている。太陽系の惑星・衛星の中では、軌道の離心率が最も大きい(0.7512)。この奇妙な軌道のため、ネレイドはその昔海王星の重力によって捕獲された捕獲衛星ではないかと考えられている。(1989年8月24日ボイジャー2号が470万kmの距離から撮影) |
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[トリトンの南極地方]
衛星トリトンは窒素とメタンの氷で覆われているが、表面全てを覆われているわけではない。たとえばこの写真のように南極冠などの極地に多く存在し、季節変動に関係していると考えられているている。南極冠を横切る黒い筋状の模様は、窒素ガスの噴煙。1989年8月25日、ボイジャー2号撮影。 |
[トリトンの北半球の地表面]
ボイジャー2号が80,000kmより近い距離まで大接近して撮った写真。右側には湖のような平らな地形が見えるが、これは最近クレーターが1個衝突したためである。その周囲にはたくさんの低い崖があり、太陽光を受けて光っている。この崖は、何らかの溶融物(or
特殊な流動物質)が流れたために形成されたものと考えられている。 |
[トリトンの地表面のクローズアップ]
トリトンの地表面は網目状の複雑な地形をしている。写真を横切る垂直に伸びる線は、約35kmに及ぶ地溝(正断層で限られた地塊が両側より深く陥没した)。地溝の中央の隆起(山の背)は、恐らく地溝帯における可塑的な流れによって出来た氷であると考えられている。周囲の地形はクレーターの跡がほとんどなく、比較的新しい地形である。1989年8月25日、ボイジャー2号が13万kmの距離から撮影。 |
[衛星トリトンについて]-----------------------------------------------------------
海王星最大の衛星にして、唯一の逆行衛星。すなわちトリトンの軌道は、海王星の自転面に対して157°も傾いている。反射率が高いため、表面温度は236℃と冥王星(-238℃〜-218℃)並みに低く、太陽系では最も冷たい天体。その一方で南半球にはマイナス200℃のN2ガス噴煙を上げる冷たい火山(氷火山)が存在し、活発に活動を続けている。細くて黒い噴煙(写真:下段の左側を参照)は高度8kmまで上昇・西にたなびいている。煙が流されるのはトリトンに大気があるためであるが、その大気は非常に薄い(地表で10万分の1気圧/厚さ930km)。大気の主成分99%はN2で、微量成分としてCH4とH2が存在する。
N2とCH4は、生命の源となる高分子有機化合物を作る材料であり、紫外線等のエネルギーを照射すると化学反応を起こす。原始地球においても、そのようなプロセスを経て海から生命が誕生したと考えられている。また南極冠付近はピンク色の霜で覆われており、この霜はN2とCH4が放射線にさらされて淡いピンク色になったものと考えられている。このようにトリトンは原始地球と環境が似ていることから、原始地球の生命発生プロセスの解明や生命痕跡の発見、テラフォーミングの可能性が期待されている。同様の期待は、火星や木星のガリレオ衛星、土星の衛星タイタンにも寄せられている。
地殻構造はおよそ3層からなり、表面は主にN2の氷層で覆われ、その下にはNH3・CH4からなるマグマ層、さらにその下にはかたい岩石からなるコアがある。クレーターはあまり見られず、北半球にはマスクメロンの模様に似た網目状の地形が広がっている。このため、トリトンの表面は地殻変動や火山活動による溶融・凍結によって何度も更新されてきたと考えられている。
赤道直径は地球の月の約4/3倍で、冥王星よりも大きい。太陽系の中では7番目に大きい天体である。また海王星の自転とは逆向きに公転する逆行衛星である。そのため別の場所で誕生した後、海王星の重力によって捕獲された捕獲衛星である可能性が示唆されている。同様の説は、衛星ネレイドにも唱えられている。
地球の月と同じく自転周期と公転周期が一致し、つねに同じ面を海王星に向けている。また逆向きの軌道を持つことと海王星の大きな潮汐力とのために、トリトンはいずれ海王星に落下すると考えられている。
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[海王星の衛星のうち、名前が付いているもののデータ]
| 番号 |
衛星名 |
発見者
(発見年) |
軌道長半径 |
公転周期 |
赤道半径 |
質量
[密度g/cm3] |
離心率 |
アルベドと光度 |
表面の物質組成 |
| I |
Triton
トリトン |
W.Lassell
(1846年) |
354,760 km |
5.8768541 地球日 |
1353.4 km |
2.140×1022 kg
[2.050] |
0.000016 |
0.76
(14等) |
メタンと窒素の氷 |
| II |
Nereid
ネレイド |
G.P. Kuiper
(1949年) |
5,513,400 km |
360.13619 地球日 |
170 km |
2 x 1019 kg |
0.7512 |
0.16
(19等) |
- |
| III |
Naiad
ナイアッド |
Voyager2
(1989年) |
48,230 km |
0.294396 地球日 |
29 km (48 x 30 x 26 km) |
? |
0.0003 |
0.07 |
- |
| IV |
Thalassa
タラッサ |
50,070 km |
0.311485 地球日 |
40 km (54 x 50 x 26 km) |
? |
0.0002 |
0.09 |
- |
| V |
Despina
デスピナ |
52,530 km |
0.334655 地球日 |
90 x 74 x 64 km |
? |
0.0001 |
- |
| VI |
Galatea
ガラテア |
61,950 km |
0.428745 地球日 |
102 x 92 x 72 km |
? |
0.08 |
- |
| VII |
Larissa
ラリッサ |
73,550 km |
0.554654 地球日 |
108 x 102 x 84 km |
? |
0.00139
|
0.09 |
- |
| VIII |
Proteus
プロテウス |
117,650 km |
1.122315 地球日 |
218 x 208 x 201 km |
? |
0.0004 |
0.10 |
- |
※数値は『理科年表(平成16年度版)』、『Solar System Exploration』(JPL)等を参照。
7.海王星に関係する天文学者たち
ラッセル William Lassell (1799〜1880)
イギリスのアマチュア天文学者で、本職は醸造業。リバプールに立派な天文台を立て、大きな反射望遠鏡を置いて、海王星の最大の衛星トリトンを見つけた。この発見は海王星自身の発見からわずか17日後のことであった。また彼は天王星の内側の衛星であるアリエルを発見し、ハーシェルが存在に気づいていたウンブリエルも再発見した。ラッセルはボンドとともに、土星の衛星ハイペリオンの発見者の一人でもある。後に彼は装置をマルタ島に運び、星雲の研究を行って600個の星雲を発見した。
アダムス John Couch Adams (1819〜1892)
コーンウォールのリドコットに生まれたイギリスの天文学者/数学者。ケンブリッジ大学の学生の時、1841年に出版されたグリニッジ天文台長エアリー卿(George
Airy)の報告書を読んで、天王星の軌道がおかしいことに気づいた。そして天王星の運動の研究をして天王星より外側にある惑星を見出す問題に挑戦しようと決心し、計算を開始(→この問題の解決には、1843年ゲッチンゲン王立科学協会によって賞金がかけられていた)。1845年秋には計算を終え、結果をまとめてエアリー卿に送ったが、すぐには反応は得られなかった(アダムスがまだ非常に若い研究者であったため、エアリー卿は相手にしなかった)。その後フランスのルヴェリエが同様の計算をしていることを聞き、焦った彼はエアリー卿に再度新惑星探しを依頼。同時にケンブリッジ大学の天文学教授チャリス(James Challis)にも探索を始めるように依頼した。エアリー卿はこのときも、アダムスの依頼を無視した(その一方でルヴェリエの研究には興味を持っていた)。チャリスのほうもは然して積極的ではなく、ルヴェリエの計算に基づいてベルリンで新しい惑星(海王星)が発見されるまでには、それを発見することができなかった。1846年9月23日に海王星が発見された後、「アダムスとルヴェリエのどちらを第一発見者にするか」で二人の周囲では論争が起こった。また、ルヴェリエの研究を知っていた一方で、アダムスの研究を無視し続けたエアリー卿は、国内外から多くの批判を受けることとなった。最終的に二人を共同発見者にすることが決まり、二人は初めて顔を合わせ、良き友となった。
現在ではアダムスとルヴェリエは対等の発見者とされている。1860年アダムスはケンブリッジ天文台長となり、とくに月の運動と流星群の流れについて多くの貴重な業績をあげた。
ルヴェリエ Urbain Jean Joseph Le Verrier(1811〜1877)
フランスの天文学者。アダムスとは別に、天王星より外の惑星を探索していた。計算結果をベルリン天文台に送り、それに基づいてゲールとダレストが新惑星探しを始め、最初の夜に発見した。ルヴェリエは水星より内側にも惑星が存在すると信じ、バルカン(Vulcan)という名さえ与えたが、そのようなものは存在しない。ルヴェリエはパリ天文台長となって多くの貴重な理論的・実際上の業績をあげた。しかし彼は人望がなく、1870年台には台長を辞めるように求められた。しかし後継者デロウネイ(Charles Delaunay)が船の事故で溺死したので、彼は台長職に復帰した。
カイパー Gerard Peter Kuiper(1906〜1973)
オランダの天文学者。海王星の衛星ネレイド・天王星の衛星ミランダを発見する。彼は1928年にライデン大学の天文学助手となった。1933年にはアメリカに移住し、1937年にはアメリカの市民権を得、そこに永住した。1933-35年はリック天文台、1935-36年はハーバード大学、1936-37年はシカゴ大学、そして1939-60年にはテキサス大学のマクドナルド天文台に勤め、後年は台長となった。1947-59年と1957-60年はヤーキス天文台の台長も兼任した。1960年、アリゾナ大学に行き、月・惑星研究所を設立。カイパー自身は月と惑星の研究に関わり、月の写真地図の編集を行った。この地図は1960年代に月軌道衛星の結果が得られるまでは標準となるものであった。木星と土星の最初の理論的研究を行ったのも彼であり、火星大気中の二酸化炭素の存在の最初の証拠も彼により発見された。1944年には土星最大の衛星タイタン(Titan)に大気が存在することを各賞した。彼は月面車による探査の主任科学者であり、1967-70年には国際天文学連合の火星地名命名に関する小委員会の議長を務めた。多くの著作や論文があるが、とくに初期のロケットによる月・惑星探査に深く関わっていた。1974年3月マリナー10号により最初に見つかった水星のクレーターには、彼の名が冠せられた。
ダレスト Heinrich Ludwig D'Arrest (1822〜1875)
ベルリン生まれのドイツの天文学者。ベルリンで学生であった頃、ガレ(Johann Galle)に加わって海王星探索に従事することをエンケに認められた。彼は彗星と小惑星の研究に大いに貢献した。回帰彗星を発見して、それには彼の名が冠せられている。彼はまた2000個の星雲の観測について発表したが、その多くは彼自身が発見したものである。
8.ハッブル宇宙望遠鏡による観測成果
ハッブル宇宙望遠鏡(HST:Hubble Space Telescope)は、ボイジャー2号の接近以来初めて海王星の詳細画像を撮影し、海王星の解明に多大な貢献をした。以下に、1993年12月の第1回サービス・ミッション後にハッブル宇宙望遠鏡によってもたらされた海王星・天王星関連の観測成果を列挙する。
| PF95-09 |
1995年2月15日 |
海王星を観測。 |
| PR95-21 |
1995年4月19日 |
海王星表面に新しい暗斑点を発見。 |
| PR95-09 |
1995年6月14日 |
海王星を観測し、惑星の構造・組成・気象について新たな情報をもたらす。惑星全体を薄く覆う高高度の“かすみ”の存在が確認される。 |
| PR96-33 |
1996年10月24日 |
海王星の自転と天候を示すムービーを制作。 |
| PR98-23 |
1998年6月24日 |
海王星の衛星トリトンが温暖化しているのを発見。1989年にボイジャーが訪れたとき(37K)よりも、2℃上昇していた(39K)。トリトンの大気圧も、ボイジャーが訪れたときより倍増していることが確認された(トリトンが射手座の恒星Tr180を通過した前後に、恒星Tr180の光度が減少したことの関連性が示唆された)。 |
| PR98-34 |
1998年10月14日 |
海王星の大気の動きをとらえる。海王星の天候が、わずか2、3日のうちにダイナミックに変化していることが明らかになる。 |
| PR03-17 |
2003年5月15日 |
海王星の季節変動を明らかにする。1996〜2002年にかけて海王星南半球の明るさ・雲の量が年々増していることから、その現象は季節が春に向かっていく前兆ではないかと推察された。 |
[引用:HST ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙2』沼沢茂美・脇屋奈々代著(誠文堂新光社)、ホームページ「HubbleSite」http://hubblesite.org/]
[参考書籍]
・『理科年表 平成16年(机上版)』(丸善株式会社) 国立天文台
・『図説 われらの太陽系 T.総論・外部太陽系』(朝倉書店) 寺沢敏夫 1985年
・Newtonムック『太陽系のふしぎ』(ニュートンプレス) 原恵/渡部潤一 2004年
・Newton別冊『最新探査機がとらえた火星と土星』(ニュートンプレス) 2004年10月25日号
・Newton別冊『改訂版 太陽系全カタログ』(ニュートンプレス) 2002年11月1日号
・Newton別冊『改訂版 太陽系大図鑑』(ニュートンプレス) 2002年3月10日号
・Newron別冊『太陽系グランドツアー』(教育社) ニュートンプレス 1991年6月10日号
・『最新 図表地学』(浜島書店) 2003年
・『生命の星・エウロパ』(NHKブックス)長沼毅 2004年
・『ハッブル望遠鏡が見た宇宙』(岩波新書)野本陽代, R.ウィリアムズ 1997年
・『続ハッブル望遠鏡が見た宇宙』(岩波新書)野本陽代 2000年
・『HST ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙』沼沢茂美・脇屋奈々代著 誠文堂新光社
1997年
・『HST ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた宇宙〈2〉』沼沢茂美・脇屋奈々代著 誠文堂新光社 1999年
[参考web]
・「Solar System Exploration」ジェット推進研究所 http://sse.jpl.nasa.gov/ (英語)
・「Planetary Photojournal」ジェット推進研究所 http://photojournal.jpl.nasa.gov/index.html (英語)
・「HubbleSite」宇宙望遠鏡科学研究所 http://hubblesite.org/ (英語)
・「The Nine Planets」 Bill Arnnett http://www.nineplanets.org/ (英語)
・「JAXAクラブ」 宇宙航空研究開発機構 https://www.jaxaclub.jp/ (日本語)
・「日本惑星協会」日本惑星協会 http://www.planetary.or.jp/ (日本語)
[使用画像]
HST(ハッブル宇宙望遠鏡):AURA/STScI/NASA
Image Credit: NASA,JPL, JAXA
HST,ボイジャー2号によって撮影された写真については、上述のジェット推進研究所(JPL)ホームページ内から入手。NASA,JPL,JAXA著作物の使用については、各HP内のサイトポリシーに関したページを参照の上で掲載。
・NASA,JPL内の該当ページ:http://www.jpl.nasa.gov/images/policy/ (英語)
・JAXA内の該当ページ:http://www.jaxa.jp/policy_j.html (日本語) |