[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」

序論 アニメ鑑賞に求められる姿勢
[検索エンジンで飛んで来た方へ]このコーナーはアニメ「セーラームーンS」のファンページに過ぎません。セーラームーンS以外の分野の参考文献としては全く役立ちません。閲覧するだけ、時間の無駄です。
 アニメキャラをアニメや原作コミックの描写そのままで受け入れ、理解するのは間違いである。子供向け番組としてTV放映するために、アイドルのように描かれている部分、一特質を過剰に描写している部分が多分にあるからだ。
 
 たとえば天王はるかや海王みちる(以下、便宜上各々を「はるか」「みちる」と略す)の場合には、恵まれた才能、優雅な雰囲気、豪勢な生活、強い精神力が挙げられる。このキャライメージに素直に惚れ込むのが一般的なアニメファンであろう。何故ファン達はキャラの外装部分に惚れ込むのか。恐らくは絵の中の人物に、現実では満たされない様々な欲を満たしてもらいたいから。物欲、名誉欲、類まれない才能、理想的な対人関係。二人の表面的な部分を追い、彼らは満足する。
 
 そのような見方も、世間で容認された一つの鑑賞姿勢であろう。しかし、その姿勢に鑑賞上のポリシーは全くない。テレビの中のステレオタイプに疑問や期待を抱くことなく、ただありのままの姿を受け入れている。連載や放映が終わればそのキャラのことなど忘れ、別のマンガで自分好みのキャラを探していくのだろう。そのキャラを通して原作者や製作スタッフが真に伝えたかったメッセージに気づくことなく、単なるアニメキャラとして消費していく。これは非常に非生産的な行為であり、思考力や感受性を弱めてしまう危険性をはらんでいる。筆者はそのような鑑賞を望まない。

 アニメの正しい鑑賞姿勢は、己の思考力と想像力、感受性を十分に働かせてキャラ性の根幹を追い、生涯にわたってそのキャラを見つめ続けることにある。多くのアニメに触れても、個々のキャラに十分な見解を持てなければ触れた意味がない。コミックキャラはそれぞれ、我々に伝えるべきメッセージをもって作られている。これに気づかずにアニメやマンガ本に触れることはただの時間潰しでしかない。はるかとみちるに関しても、このことは例外ではない。原作者・武内直子には二人を通して伝えたいことがあった。以下は、イタリアの雑誌出版社よる原作者へのインタヴューからの抜粋である。
【英文】
 This is an interview with Naoko Takeuchi that was published in an Italian magazine (Kappa Magazine 51, September 1996)
 
 "The relationship between Haruka and Michiru is quite special. I think the most important feeling in the world is friendship. The friendship between them is so strong that is becomes love. There's not only heterosexual love, but there also can be homosexual love, in this case between the two girls. Some trouble for this choice among my young public happened.
 But in Japan, strong girls are very popular. The tradition of my country has in the Takarazuka, the Japanese theater in which only women take part, the maximum level of feminine emancipation. These actress cover all roles of the plays, even the male ones. I was inspired by them to create Haruka. It wasn't easy to make children understand how there could be true love between two women.
  Haruka is a tomboy, she talks and dresses like a boy, and therefore it's natural she falls in love with Michiru. "
(インタビュー記事をまとめ直したもののため、内容に一部改変している部分があります。まとめ直し前の記事をご覧になりたい場合は、website:『Wind Sprit』のインタビュー紹介ページを参照のこと。なおこの記事の出典は"Kappa Magazine"によるとされているが、詳細は不明。現在調査中)
【和文】
※daydreamerが個人的につけた意訳です。

 以下は、イタリアの雑誌(カッパマガジン第51号、1996年9月)で掲載された武内直子氏へのインタビューです。
 「はるかとみちるの関係は、非常に特別なもの。私は、世界で一番大切な感情は友情だと思います。はるかとみちるの間の友情は、愛情になってしまうほどにとても強いものなのです。異性愛だけでなく同性愛も…この場合は二人の少女の間でですが…在り得るものなのだということ。でも、同性愛を漫画の中に盛り込むことで、私の若い読者の間にもいくらか混乱があったことは事実ね。
 けれども日本では、強い女の子はとても人気がある。私の国の伝統には、女性だけが出演する日本人劇場“宝塚歌劇団”において最高レベルの女性解放形態があるのですよ。女優たちが劇中の役を全て、男役さえもこなしてしまう。私は“はるか”というキャラクターを創るうえで、彼女らにインスピレーションを与えられました。それでも、二人の女性の間に生まれた真実の愛がどのようなもので有り得るのかを、子供達にわかってもらうのは容易なことではなかったけれど…。
 はるかはおてんばで、男言葉を使い、男の子のような身なりをしています。だから、みちると恋に落ちたのは自然なことなのです。

 原作コミックとアニメでは二人の扱いがやや違う。キャラ描写の違いは、原作者のメッセージとは別のメッセージを伝えるために行われたのではなかろうか。アニメでは、前世からの宿縁で結ばれた二人の間の、現世での束の間の幸せに対する不安さが描き加えられている。世界平和のために戦う仲間ではあっても、戦いが終われば互いの関係は必然でない。二人はこの事実を受け入れ、ワークパートナーとして以上に自分を魅せる努力をし、前世以上に強く結びついていく。状況設定を少し変えれば、二人の姿は現実世界でも見ることができよう。自分自身の境遇に当てはめることもできる。等身大のアニメキャラをあえて登場させることで、"困難な恋愛でも弛まぬ努力があれば成就する"という前向きな考えを学ばせたかったのではなかろうか。
 
 アニメを見た子供達に、このメッセージが届いたかは定かでない。理解力が足りず、ただ二人を困惑して見ていた子もいたかも知れない。あるいは保護者に、情操教育に良くないものと見なされてTVや本を取り上げられた子もいたかも知れない。しかし二人を知って追求し、原作者たちのメッセージに辿り着くことは、発想を柔軟にする上で大いに役立つ。同性愛という恋愛の一形態が存在すること、恋愛には多大な努力が必要なことは、いずれ知る知識であるからだ。
 
 総じて、アニメ鑑賞には深い洞察力と洞察を続ける忍耐が必要であるといえよう。子供向けアニメだからといって、他ジャンルより軽んじて視聴すべきでは決してない。アニメからも得る部分がたくさんあるのだから。

[序章][第1章][第2章][第3章][第4章][第5章][第6章][第7章][総論][あとがき][参考文献

[このページの先頭へ][海王みちる研究[目次]][アニメ研究目次ページに戻る][トップページに戻る