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音楽と美術の二才能を持つことはキャラ表現に良い効果をもたらす。
それでは、音楽ジャンル内での組み合わせ、クラシック音楽と他音楽とのジョイントでは、キャラ性にどういう影響が出るのだろうか。TVアニメ第180話(「呼び合う星の輝き! はるか達参戦」1996/07/13
on air、東映動画、テレビ朝日)でみちるは、人気ロックバンド「スリーライツ」とのジョイントコンサートを行っている。アニメといえどもクラシック演奏家がジャズやフュージョン、エスニックミュージックとならまだしも、激しいビートのロック音楽と競演する設定は、意外性に富んでいる。コンサートでみちるは、ロック音楽の範疇である曲にも難なくついていき、曲にアレンジさえ加えて、客をわかせている。常に既存の演奏スタイルにとらわれない姿勢をもっていることが、海王みちるというキャラに、親しみやすさを感じさせることは先述の通りである。
しかし「お嬢様」キャラにしては反骨精神が強すぎ、野蛮なイメージすら受けさせる。アニメ初登場時にこのキャラが持っていた、崇高、高潔というプラスイメージが、第180話でひどく減らされたように感じてならない。視聴者の中にも、この回は第93話のレモン曲芸とは対照的に、キャラ形成が視聴者の許容範囲を越えてしまった失敗例、ととれる。どちらの回もみちるの音楽に対する姿勢を描いたものだが、結果的に変なキャラになってしまった。
この事態を招いた原因は、制作者サイドが、クラシック音楽が「上等音楽」という固定イメージが広く有していること、そしてその演奏者であるバイオリニスト・海王みちるは、キャラとして高潔なイメージから切り離して存在することが出来ないことを考慮しなかったことにある。キャラのイメージを回復するには、再びみちるがバイオリンを演奏するシーンをその後のエピソードに盛り込む必要があった。だが期待は裏切られ、第180話以降、最終回に入っても、みちるのバイオリン伴奏シーンはなかった。
そもそも、ロック音楽とクラシック音楽のジョイントは可能なのだろうか。ロック音楽愛好家は、心や脳髄に直接響いてくる壊れた楽音から、魂の叫びを求めてロック音楽を聴く。クラシック音楽愛好家は、美しいメロディーを求めてクラシックを聴く。また、筆者を含めてクラシック音楽愛好家はポップ音楽をあまり好ましく思っていない傾向にある。予想外に飛び交うポップ音楽の旋律について行けず、それらを「騒音」とも感じている。そんな温和な人間たちに、壊れた楽音さえ貴重とするロック音楽の激しいビートが合うとは考えがたい。アニメではジョイントが成功しても、現実には相容れない音楽どうしではなかろうか。
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