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| みちるがバイオリンの音色で、聴衆を精神錯乱状態にするシーンがある(コミック第8巻p.117参照)。もちろんコミック上の非現実的な設定である。しかし「バイオリンには魔力がある」という話を現実世界で耳にしたことはないだろうか。「チェリーニの呪いのバイオリン」が思い当たるであろう。このバイオリンは、所有者・関係者に不運ばかりをもたらしている。不運の原因は、バイオリンの魔力に人の力が敵わなかったことにあるのではなかろうか。妖美な造形美から人々が感じたものが、ありきたりの賛美であったとは思えない。このバイオリンに対する何か屈折した想いのようなもの、その思念のかたまり、波長のようなものが、人にとってはマイナス属性だったのではなかろうか。 バイオリンに限らず、宝石でも同様の惨事は起こっている。「ホープ」というのダイアモンドにまつわる奇怪な話がある。青色のまばゆい宝石だが、これを身に付けた者は奇怪な死もしくは事業の失敗を遂げている。美しさゆえに数々の宝石好きの資産家に所有されたが、現在はワシントンのスミソニアン博物館の展示品となっている。宝石にしてもバイオリンにしても、どちらも無機物である。無機物は外部から何らかの力を受けない限り、変化を起こしたり、力を持ったりはしない。強力な外力を与えるものとして、有機物、特に動物、人間が挙げられよう。つまり、無機物に蓄積された負のエネルギーを許容できなかった人間は、心身のバランスを崩すと考えられる。 もしもこの負のエネルギーを十分に許容する人間がいたら、それはどんな人物であろうか。物質からのマイナス波長をプラスに変え、負のエネルギーに侵されることなく自在に操れる、精神力が桁外れに強い人物ではなかろうか。音色一つで聴衆の心を操れる海王みちるは、まさにこのモデルであり、キャラとして「強い人」という印象を与えている。悪く見れば、それだけの魔力に耐えられる末恐ろしい人物、近寄りがたい魔女的存在という印象も受けるだろう。 ただ残念なことに、みちるの所有するストラディバリ「マリン・カテドラル」は実在しない。原作では、五億円の値がつく代物で美しい深海を想わせる音色を奏でるとされている。ストラディバリほどの名器ならば、何某かの魔力、抗し難い想いが秘められていることもありうるかも知れない。また、若干十五歳(彼女の誕生日は3月6日であるため、高校一年生という設定でもまだ15歳である)で既に数億円の名器を手にしていることで、彼女は金銭的に非常に恵まれた環境にいることがキャラ性として付加されている。仮に、そのストラディバリが日本音楽財団(http://www.nmf.or.jp/)から一時貸与されているものだったとしても、貸与されるだけの十分な実績を築いていることが推測される。 |
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